見知らぬご老人との不思議な出逢いとメッセージ

実は今、ひそかに一人旅をしています^^
先週は家族で奄美大島、その後そのまま一人神戸へ。
奄美大島のことも色々珍しいこととか面白いことが沢山あったので、後々お話ししようと思いますが…これは神戸に来て2日目の不思議な出逢いのお話。
知っての通り、普段沖永良部島に住んでいるワタクシ。
飛行機で着陸する前の段階で、早くもコンクリートジャングルに目眩を覚えました(笑)。
「これはイカン!」ということで、ちょっとでも自然のあるところへ逃れようと、布引の滝とハーブ園へハイキングに行ったんです。
新神戸の駅の裏って、すぐ山なんですね。
スッタスッタと駅の横をすり抜けてハイキングスタートです。
普段からバンバン自然の中を歩き回ってる私にとっては、このハイキングコースは歩き易すぎて冒険感に物足りなさを覚えつつも、写真を撮りながらのんびり歩くことに。
布引の滝は、雌滝、夫婦滝、雄滝…とあるようで。15分もしないうちに、1つ目の滝に到着しました。
正直…見た瞬間に「んー…人工的な滝壺だな…」と思ってしまいました^^;
そこからまた山道を登り、夫婦滝&雄滝に到着。
雄滝というからにはもっと激しいものと期待してたんですが、私にとっては穏やかに見える水流でした。
でも、私も含めて何人もの観光客らしき人が写真を撮っていて、「まぁ休憩するにはちょうど良いかな」と感じる場所でした。
そこからハイキング道の階段を登ったところに、古そうなお茶屋があって。
横を通りかかったときに、見知らぬご老人が私を見て手招きしてきたんです。
その手つきが、まるでごく身近な人を呼ぶかのようだったので、なぜかわからないけれど吸い寄せられるように近くづいてしまったんですね。
すると、その方は言いました。
「ここから滝が見えるやろ。
昔はこの位置では、木の葉が生い茂っていて滝は見えんかった。
でもこの木見てみぃ、下の方の葉が落ちてスカスカやろ。
この滝は、昔はもっと勢いがあって滝壺に落ちる水でしぶきが上がって、あんなところ(私がさっきまでいた場所)には、おれんかったよ。
だからここの木も水が足りんから、こうして下の方の葉を落として、伸びていく上の部分だけを伸ばしよる。
生きるために、必死や。
水が少ないから木が枯れていく。
木が枯れていくから、虫もあんまりおらんやろ。
虫もおらんから、鳥もおらん。
それなのに、誰もその不自然さに気がつかんのよ。」
それは、私もこのハイキングコースを歩き出してからずっと、まさにずっと気になっていたことでした。
『やけに虫が少ない。鳥の声が全く聞こえてこない。』
島から来たから、時期的なものかな??とも思ったけど、やっぱりそうじゃなかったんですね。
そう思いながら相づちを打っていると、話はこう続きました。
「この滝の下の方には、新幹線が通ってるやろ。
大雨でアレを壊すとアカンから、アレを作る前に山の中の水を先に抜いて、川の流れを変えたからこうなってるんよ。
あの滝の水は、もうただの泥水や。
ここの滝の上の川には、水がないんよ。途中で川が終わっとってな。
上の方まで行くと明らかや。上まで一緒に登ってみるか?」
『これは何のメッセージかなぁ』と考えつつ、元々上まで行く気満々だったので、「行きます!」と言って、その方について行きました。
歩きながら聞いた話では、その方は80才で、40年間毎日のように、その同じ道を上り続けているそうです。山にまつわる歴史の話とかも色々してくれたんですが…そこはちょっと割愛(笑)。
上流の方へ向かって歩いていると、確かに突然、川は5メートルくらいの高さのコンクリートの壁で終わっていました。
そして、そのコンクリートの壁を超えた先には川の形跡がありましたが、もう長らく水が流れていない様子で、砂がかぶっている状態でした。
「ほらな、ここで川がなくなってるんよ。
一滴の水も流れてないのに、あれくらいの量の水が滝に流れとるのはおかしいやろ。
結局あそこの滝は、ここまでの水を循環させとるだけなんやな。
みんな滝目当てに来て、滝がなかったらアカンからな。
そういうことが、今の時代はできてしまうのよ。」
あまりにも不自然な光景に、もはや写真を撮る気も、言葉もなくなってしまいました^^;
それと同時に、『これは何のメッセージか?』という答えが頭の中にフッと浮かび上がりました。
不自然、枯れていく木々、循環する泥水、新しく水が入ってこない川…。
私はご老人の話の中で、それらの言葉が凄く気になっていて。
これ、人間と一緒なんだ。
人間も新しい水が入ってこなければ当然体の調子はおかしくなるけど、多少では気づかない。いよいよ具合が悪くなるまでは、大したことないと思ってる。
これは「新しい水=WATER」だけじゃなくて、新しい知識、新しい経験、新しい人との出逢い…自分が新しいと感じる「何か」全てにおいて言える話なんだ!
自分がこれまで持っている知識の中だけで考えても、斬新なアイディアは生まれない。
自分のこれまでの経験から出した答えが、いつもベストとは限らない。
自分がこれまで築いてきた人間関係の中だけでは、新しい価値観には出逢えない。
自分のこれまでの趣味や仕事を繰り返すだけの人生では、日常の新鮮さや心の活力は失われていく。
新しい水が入ってこないのは、本当は不自然なことなんだ。
それなのに「新しい水」を入れていないその瞬間、人はその不自然さに気がついていない。
とはいえ、私も最近新たに本を読んだりするのがちょっと億劫になっていたんでね。
猛省しました(笑)。
そして同時に、今回の旅は「新しい水」を沢山入れてけよ、ということなんだなと思いました。
もちろん、「入れる」だけじゃなくて、大事なのは「循環」。
入れるだけでは、そのうち決壊しちゃうから(笑)。
新しい水の循環を意識しながら、この旅を進めていこうと思います!
椎名ゆりでした^^